東北地方で育つ、力強い有角の牛
かつて三陸には、特産物である塩や鉄、海産物を内陸に運ぶ『塩の道』がありました。その道で重い荷を背負って運んでいたのが、この地域でもともと飼育されていた南部牛。「あかべこ」と呼び親しまれていました。
明治4年にショートホーン種が米国から輸入され北上山地の厳しい飼養条件に合ったことから、南部牛と交雜・改良を重ねて昭和32年に『日本短角種(正式名称)』と認定されました。『日本短角種』は、「和牛」と呼ばれる品種の1つで、唯一東北地方から発生したものとなり、国内和牛流通において1%ほどのシェアしかない、希少性の高いブランド牛です。
『夏山冬里方式』で健康的に育つ
寒さに強く、丈夫で病気にも強い短角牛は、泌乳量が多いショートホーン種の血も入っているため子育てにも向いており『夏山冬里方式』という飼育方法で育てられます。放牧地の雪が溶けて新緑のシーズンになると親子で放牧され、子牛は母牛の母乳を飲み、徐々に生草を食べるようになりすくすくと育ちます。母牛は子牛に授乳をしつつ、自然交配により、また新たな子を宿します。冬が訪れると山下げといって、母子は放牧地を去り里に帰ります。一年を通してストレスの少ない環境で育っています。
のびのびと運動することで引き締まった肉質に
ホルモン剤を使わず、のびのびと運動することでほどよく引き締まった肉質となります。主な生産地の岩手では、夏場に吹く冷涼な「やませ」によって山が霧におおわれるため、牧草がよく育つことも、短角牛を健やかに育てる強い味方となっています。

強い旨味と絶妙な歯応え
脂肪分が少なく、旨味成分のグルタミン酸やイノシン酸がたっぷり含まれる良質の高タンパクな赤身肉です。しっかり焼いてもずっと噛み締めていたくなる赤身には強い旨味があり、煮込めば肉の繊維がホロホロとやさしくほぐれます。肉を豪快に楽しみたい、肉の力強さを感じたい。そんな期待にしっかりと答えてくれるのが短角牛です。